毎年春になると「花祭り」という行事があるのをご存知ですか?
仏教を開かれたお釈迦様の誕生日を祝う目的で宗派を問わず行われるというものなのですが、あまり詳しく知られていない印象がありますよね。
ここでは「花祭り」の由来や内容、お釈迦様の像に甘茶をかける理由などについてご紹介します。
「花祭り」って何!?
「花祭り」とは、お釈迦さまの誕生日を祝う仏教の行事です。
お釈迦さまの生誕日とされる4月8日を中心に行われており、花祭りの名前の通り沢山の花で飾られたところにお釈迦様の像をまつり、甘茶をかけておまつりし、子どもの健やかな成長を祈願するとされます。
全国の様々なお寺や仏教系の幼稚園や学校などで毎年行われており、稚児行列やお菓子配布など様々な内容で行われています。
花祭りの別名
「花祭り」という呼び名は、明治時代に浄土真宗の僧侶安藤嶺丸が提唱したのがきっかけで、宗派を越えて広まったといわれます。
それまでは『灌仏会(かんぶつえ)』をはじめ、『仏生会(ぶっしょうえ)』『降誕生(ごうたんえ)』『浴仏会(よくぶつえ)』『降誕会(こうたんえ)』『竜華会(りゅうげえ)』『花会式(はなえしき)』など、様々な呼ばれ方をしていたようです。
花祭りの日程
お釈迦様の誕生日とされる4月8日に、全国のお寺を中心に行われる予定です。
ちなみに2018年は4月8日(日)ということになりますね。
なお、地域によっては旧暦で5月8日に行われることもあるようです。
花祭りの由来
花祭りの行事は中国やインドでも古くからあったようですが、日本では606年に元興寺で初めて行われたといわれます。
推古天皇や聖徳太子の時代に始まったこの行事は、奈良時代には大きな寺を中心に広まって平安時代には寺の行事として定着したといわれます。
花祭りの由来は、お釈迦様の誕生にかかわるこんなエピソードからきています。
およそ2500年前のインド、お釈迦様の母は6本の牙を持った白い象が自分の体の中に入る夢を見て間もなく懐妊、4月8日にお釈迦様が誕生したそうです。お釈迦様は生まれてすぐに立ち上がり、7歩歩いた後に天地を指差して「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」、つまり「この世のすべての人々はみな唯一の存在で尊い」という意味の言葉を発したとされています。
この時、天に9頭の龍が現れて甘露を吐いたものが降り注ぎ、それをお釈迦様の産湯にしたということなのです。
これにちなみ、毎年4月8日には、沢山の花で飾られた『花御堂(はなみどう)』と呼ばれる小さなお堂の中に甘茶の入った水盤を置き、そこに赤ちゃんの姿のお釈迦様(誕生仏)の像をまつります。
そして、お参りにきた人は、甘茶を柄杓でお釈迦様の像の頭からかけてお祝いするのです。
像の右手が上,左手が下を指差していたり、白い象がまつられているのも、この話に由来していることがわかりますね。
またこの祭りでは赤ちゃんの頭に甘茶を塗ったりして、お釈迦様の誕生を祝うと同時に、子供たちの健やかな成長を祈願するという意味合いも含まれているのです。
甘茶って何!?
ユキノシタ科アジサイ属の『甘茶』という植物があり、それを発酵させてお茶にしたものなのだそうです。
名前が似ている『アマチャヅル』はウリ科の植物で、全く違う種類です。
この『甘茶』は、発酵させることで砂糖の500~1000倍もの甘さになるそうで、昔は甘味料として取り入れられていたとか。
内臓の機能や血行の改善、さらに花粉症にも効果があるといわれています。
花粉症に効果がある甘いお茶というと『甜茶』を思い浮かべる方も多いでしょうが、これもバラ科の植物で別物なのですね。
花祭りに飾る花は!?
お釈迦様が生まれたルンビニ園というところには沢山の花が咲き乱れていたそうです。
そのため、お釈迦様の誕生日にはたくさんの花で飾られた『花御堂(はなみどう)』を作りお釈迦様の生まれた時の姿形の像を安置することになったのですね。
花祭りとよばれる由来はここにあるようです。
飾る花の種類については特に指定はないようですが、仏花である菊やトゲがあるもの、また香りがきついものなどは避けた方がいいとされます。
花祭りに花を持っていくのであれば、その季節に咲いている可愛らしい感じの花を切り花で準備するといいでしょう。
季節的には、菜の花やチューリップ,カーネーション,ストック,キンセンカやキンギョソウなどが例に挙げられます。
花祭りに歌うお釈迦様の歌がある!
■花まつり
賀来琢磨作詞 本多鉄磨作曲
■お釈迦様の歌
まとめ
お釈迦様の誕生を祝う「花祭り」、日本でも各地の寺院や仏教系の幼稚園などで行われる歴史ある行事であることがわかりました。
誕生にまつわるエピソードにちなみ、それを再現するように沢山の花で飾られたお堂にお釈迦様の像をまつり、甘茶をかけるのがならわしなのですね。
お寺の格式ある式典から、子ども中心の親しみやすい形式のものまで様々な内容で行われているようですので、一度体験してみてはいかがでしょうか?
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