節分には豆まきをして恵方巻を食べるご家庭が多いですよね。
邪気のイメージである鬼を追い出して無病息災を願うという願いをこめて行うものだといわれますが、他にも地方によっては『いわし』を飾ったり食べたりする風習があるのをご存知ですか?
なぜ節分にいわしなのでしょうか?
節分にいわしを食べる風習の由来や意味合い、飾り方などについてご紹介します。
目次
節分にいわしを食べる理由は!?
いわしは漢字では『鰯』と書き、『弱し(よわし)』『卑し(いやし)』という語源があるそうです。
また鮮度が落ちやすくてすぐに悪臭を放つことから、弱くて卑しく、悪臭のするいわしを食べれば、『陰の気』を消すことができるといわれてきたのですね。
また、鬼は煙が苦手とされ、脂ののったいわしを焼いた時に立ち上る煙が邪気を追い払うともいわれます。
もう1点、いわしは秋から冬にかけて脂がたっぷりのってくるため特においしいですし、カルシウムや鉄分をはじめとする様々な栄養素が豊富といわれます。
血液サラサラ効果が期待できるEPAで冬の血液循環を向上させたり、脳細胞に働くDHAで冬の寒さが要因となる冬季うつ病の予防効果も期待できるとか。
節分の頃にいわしを食べることは、家族の健康や無病息災をかなえるためには理にかなったことなのですね。
いわしを食べるのは地域によって違う!?
いわゆる節分いわしの風習は、主に関西方面が主流なのだそうです。
他にも、関東地方のけんちん汁や四国地方のこんにゃく、そして山口県のくじらなど、地域によって様々なならわしがあるようですが、同じような願いがこもっているようです。
また、昔は立春が年のはじめとされていたため、その前日の節分に蕎麦を食べるという風習もあるのだとか。
方法はさまざまですが、新しい年をむかえるにあたっての人々の思いは共通なのですね。
節分のいわしの食べ方は!?
一般的には節分にはいわしの塩焼きを食べるようです。
鬼の苦手な煙で邪気もろとも追い払おうということなのでしょう。
この時期のいわしは脂がのっているので、煙もたくさんたちのぼることでしょう。
節分にいわしを飾る理由は!?
豆まきも同じですが、節分に行う風習には、どれも鬼の邪気を追い払うという意味が含まれているようです。
鬼は臭いのきついものや尖ったものが苦手といわれますので、魔よけの役割を期待して、鮮度が落ちやすく臭いのきついいわしを玄関先に飾るようになったといわれます。
柊鰯(ひいらぎいわし)って何!?意味は!?
焼いたいわしの頭を柊(ひいらぎ)の枝で刺したものを柊鰯(ひいらぎいわし)といい、これを玄関先に飾る風習があるようです。
柊の葉は先がトゲのようなキザキザな形をしており、これにいわしの頭を組み合わせることで、尖ったものと臭いものを嫌う鬼を追い払ったり、柊のトゲで鬼の眼を刺して寄せ付けないようにしようという思いが込められているのですね。
地域で柊鰯の呼び方が違う
柊鰯には、各地域で様々な呼び方があるようです。
『柊刺し』『鬼の目さし』のほか、主に西日本では、『焼嗅(やいかがし)』『やっかがし』『やいくさし』『やきさし』などと呼ばれるそうです。
柊鰯の由来について
平安時代に紀貫之が著者として成立した『土佐日記』には、その当時に柊鰯が存在したと記載されているようです。
当時は鰯ではなくボラの頭を用いており、しめ縄に柊の枝とボラの頭を刺していたようですが、いつから鰯に変わったのかは明らかではなさそうです。
また、この風習が一般の民衆に広まっていったのは江戸時代の頃という説もあり、浮世絵にも描かれているということです。
節分の柊鰯の飾り方
柊鰯の作り方および飾り方についてご紹介します。
[用意する物]
・柊の枝
・鰯の頭
鰯の頭をこんがりと焼き、柊の枝の先に刺します。エラ近くから目に向けて突き刺すとうまくいくようです。
飾り方(例)についての動画はこちら
柊鰯を飾る場所
一般的には玄関先に飾るものとされます。
鬼が家の中に入ってくるのを防ぐという魔よけの意味がありますので、入り口に飾るのが効果的だといわれています。
ドアの横あたりの柱などに取り付けたり、足元に立てかけておくケースが多いようです。
柊鰯を飾る日は?
節分の日(2月3日)に飾るのが一般的といわれます。
ただし地域や家庭によって諸説あり、小正月の翌日(1月16日)から節分までの間に飾っておくというところもあるそうです。
柊鰯をはずす日は?
こちらも地域によって様々です。
節分の次の日である立春(2月4日)にはずすという説、2月中飾っておくという説のいずれかである場合が多いようです。
柊鰯をはずした後はどうすればいいの?
これも色々な方法がありますが、一般的には塩で清めて半紙に包んで捨てるのが一般的のようです。
神社に持っていって焚き上げてもらったり、灰になるまで焼いて玄関先に盛るというやり方もあるということです。
「鰯の頭も信心から」ということわざがある!
いわしの頭のような価値のなさそうなつまらないものでも、それを信心する人にとってはありがたいものに思えるというような意味があります。
これは、まさしくこの柊鰯の習慣が由来になっているといえますよね。
さらにこの意味としては、物事を頑固に信じている人をからかうような意味合いでも使うことがあるということです。
まとめ
節分といえば豆まきや恵方巻きがよく知られていますが、その他にもいわしを食べたり飾る風習があるのですね。
いずれも邪気払いや無病息災など、人々の新しい年の幸せを願う思いが伝わってくるものでした。
いわしを焼いた時に出る煙で陰の気を追い出し、鬼の嫌う『柊鰯』を玄関先に飾って邪気が侵入するのを防いで、気持ちを新たに一年を過ごせたらいいですね。
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